早朝の水産加工場。白い壁に画鋲で留めた大きな貼り紙が画面の大半を占め、太い黒文字で「気仙の水産加工業」「2026年の現在地」「大船渡港 水揚げ 42,602トン → 17,504トン」「気仙沼港 量は減っても金額はほぼ横ばい」と書かれている。貼り紙の右下隅に手書きで「三陸ハピネス/石田祐太 2026年8月」。右奥の明るい加工室では作業着の人が一人、後ろ姿で青いコンテナの脇に立ち、手前にはステンレスの作業台とクリップボードが写っている。

これは第1弾のPDF「気仙・三陸の水産加工業 2026年版」の詳しい版です。出典はすべてリンクにしてあります。登録もメールアドレスも要りません。PDFで読みたい方は業種レポートの一覧からどうぞ。

確認時点:2026年8月 数値ごとの基準日と出典は、本文の数字の近くに併記しています。

先に押さえる

この業種の判断材料3つ

  • 出荷額は約29%増 全国の水産食料品製造では2014年から2024年に増えました。
  • 事業所は約18%減 同じ10年間で、全国の事業所数は減りました。
  • 2港で縮み方が違う 気仙沼港と大船渡港は、数量と金額の動きが同じではありません。

出典と条件は、続く本文に併記しています。

魚が変わる、売り方も変える――気仙の水産加工業「現在地と次の一手」

気仙・業種別市場レポート 第1号(水産加工業)・詳報 2026年8月17日 / 石田祐太(三陸ハピネス・陸前高田市) ← 業種レポートの一覧へもどる

このレポートを一枚で(数字は本文と同じ・出典は下の本文にあります)
出荷額 約29%増全国の水産食料品製造(2014→2024)
事業所 約18%減同じ10年での事業所の数
従業者 約11%減同じ10年での働く人の数
結論従来魚種の回復だけを待たず、「入る魚」「売る形」「人を使う工程」を組み替える。一品、一販路、一工程から試す

0. このレポートで伝えたいこと

これは、陸前高田市・大船渡市・住田町・気仙沼市で、水産加工や水産業を営む経営者のための市場レポートです。 一番大事な結論は、従来魚種の回復だけを待たず、「入る魚」「売る形」「人を使う工程」を組み替える時期に入った、ということです。 ただし、最初から大きく賭ける必要はありません。一品、一販路、一工程から試し、数字を見て次へ進むのが現実的です。

1. 数字で見る、気仙の現在地

地域を支える大きな産業。ただし、水産加工だけの規模は不明

市別に取得できた直近値は、「水産食料品製造業」ではなく、その上位に当たる「食料品製造業」です。従業者四人以上の事業所について、2020年の大船渡市は38事業所、従業者1,370人、出荷額274.3億円。気仙沼市は73事業所、2,233人、572.2億円。陸前高田市は13事業所、352人、67.6億円でした。2021年経済センサス

ここには水産加工以外の食品製造も含まれます。そのため、この数字を三市の水産加工業そのものの規模とは言えません。住田町の対応値と、約十年前との市別比較も、今回の材料では不明です。それでも、食料品製造が地域の雇用と出荷を支える重要産業であることは読み取れます。

全国では「出荷額増、事業所と人は減少」

全国の水産食料品製造業は、2014年の5,748事業所、146,353人、製造品出荷額等3,098,234百万円から、2024年には4,741事業所、130,868人、3,999,524百万円となりました。出荷額は約29%増えた一方、事業所数は約18%、従業者数は約11%減っています。2014年工業統計2025年経済構造実態調査

ただし、2014年値は従業者四人以上、2024年値は全事業所で、厳密な同条件比較ではありません。方向感を確認する数字として見るべきです。

図1 全国の水産食料品製造業・この10年(2014年を100としたときの2024年)
  • 製造品出荷額等129
  • 従業者数89
  • 事業所数82

お金は増え、数は減りました。少ない事業所と少ない人で、より大きな金額を作っている形です。2014年値は従業者四人以上、2024年値は全事業所で、厳密な同条件比較ではありません。方向感を見る数字として読んでください(出典は本文)。

別の統計でも、全国の水産加工場は2008年の10,097場から、2013年8,514場、2018年7,289場、2023年5,967場へ減り、十五年間で約41%減りました。2008年2013年2018年2023年

二つの港は、同じ縮小ではない

気仙沼港は、2025年(暦年)の水揚げが44,332トン、160.61億円でした。2013年(暦年)の61,785トン、156.55億円と比べ、数量は減りましたが金額は同水準です。気仙沼市魚市場

生鮮カツオは1997~2024年の二十八年連続日本一でしたが、2025年(暦年)に勝浦港へ首位を譲りました。khb東日本放送

大船渡港は、2025年度の水揚げが17,504トン、50.49億円。2013年度の42,602トン、67.91億円から、数量・金額ともに縮小しました。2025年度2013年度

気仙沼は「量が減っても金額を保つ」局面、大船渡は「量と金額の両方が縮む」局面です。同じ気仙圏でも、同じ処方箋では足りません。一方、大船渡のサンマは2024年度に5,675トン、27.89億円で、数量は十年、金額は十三年連続の本州一位でした。東海新報。縮む港の中にも、今なお強い看板があります。

図2 気仙2港の水揚げ量の変化(トン)
  • 気仙沼 2013年61,785
  • 気仙沼 2025年44,332
  • 大船渡 2013年度42,602
  • 大船渡 2025年度17,504

気仙沼は暦年・大船渡は年度の統計。量はどちらも減ったが、金額は気仙沼がほぼ横ばい、大船渡は縮小(出典は本文第1章)。

図3 同じ量の減り方でも、金額の減り方は違う(水揚げ金額・億円)
  • 気仙沼港 2013年156.55
  • 気仙沼港 2025年160.61
  • 大船渡港 2013年度67.91
  • 大船渡港 2025年度50.49

量はどちらも減りましたが、金額は気仙沼がほぼ同水準、大船渡は約26%減りました。気仙沼は「量が減っても金額を保つ」局面、大船渡は「量と金額の両方が縮む」局面です。気仙沼は暦年、大船渡は年度の値です(出典は本文)。

2. 海が変わった。原料の前提も変える

全国の確報を長期で見ると、従来の主力魚種は大きく減っています。サンマは1958年の575,087トンから2024年の39,335トンへ、スルメイカは1968年の668,364トンから2024年の19,850トンへ、サケ類は1996年の287,459トンから2024年の46,706トンへ減少しました。漁業・養殖業生産統計

サケは地域別重量が不明ですが、来遊数という別の指標では、北海道が1996年の5,737万尾から2025年の686万尾へ、本州太平洋五県合計が3,073万尾から3.3万尾へ減っています。水産研究・教育機構

減る魚だけではありません。マイワシは2010年の70,159トンから2024年の666,403トンへ増えました。ブリ類は1990年の52,098トンから2014年に125,153トンへ増え、2024年も81,404トンでした。漁業・養殖業生産統計

三陸沖の年平均海面水温は、気象庁の1911~2025年の解析で、百年当たり1.27±0.55℃上昇しています。気象庁。ただし、この数字だけで、特定魚種の増減を海水温のせいだと断定はできません。漁獲、回遊、資源管理など複数の要因があり、個別の因果は不明です。

気仙沼港では、数量が減っても金額は同水準でした。家庭でも、2025年(暦年)は生鮮魚介の購入量が減り、支出額は増えています。限られた原料を何に加工し、いくらなら選ばれるかが重要です。主力を捨てるのではなく、別魚種、養殖魚、未利用部位でも止まらない設計が要ります。

図4 主力の3魚種は、こう減った(全国・トン)
  • サンマ 1958年575,087
  • サンマ 2024年39,335
  • スルメイカ 1968年668,364
  • スルメイカ 2024年19,850
  • サケ類 1996年287,459
  • サケ類 2024年46,706

それぞれの魚が一番多かった年と2024年の全国の量。棒の長さは魚ごとに見てください(3魚種の間で長さは比べられません)。減った理由は漁獲・回遊・資源管理などが重なっており、個別の因果は不明です。マイワシのように増えた魚もあります(出典は本文第2章)。

3. 国内市場――魚は減ったが、調理の負担を減らす需要はある

国民一人当たりの魚介類消費量は、2001年度の40.2キログラムから2024年度の21.3キログラムへ約半減しました。肉類を下回ったのは2011年度で、その後も逆転した状態が続いています。2026年水産白書

世代差もあります。2023年の魚介類摂取量は、一人一日当たりで20~29歳が41.9グラム、70~79歳が78.2グラム。若年層は高齢層の約54%でした。国民健康・栄養調査

一方、2025年11月の消費者調査では「簡便化志向」が38.0%あります。日本政策金融公庫。骨を取る、切る、味を決める、洗い物をする。その負担を減らす余地は残っています。

ただし、「時短なら伸びる」と結論するのは早計です。2025年(暦年)の冷凍食品全体は157.4万トンで前年比2.4%増でしたが、水産冷凍食品は36,730トンで7.6%減でした。日本冷凍食品協会。水産缶詰・瓶詰も2024年の73,742トンから2025年の71,488トンへ減り、日本缶詰びん詰レトルト食品協会・缶詰、水産レトルトも2024年の4,652トンから2025年の4,430トンへ減りました。同・レトルト

確認できるのは「簡便性への需要」であって、「水産時短商品の市場拡大」ではありません。骨なし切身や時短調理商品の全国統一の市場規模と伸び率は不明です。したがって、作れば売れると考えず、少量で試し、誰が、どの場面で、いくらなら買うかを確かめる必要があります。

採算面も軽くありません。2026年6月の企業物価は、農林水産物が前年同月比7.0%、輸入食料・農水産物が9.4%、電力・ガス・水道が3.4%、プラスチック製品が7.3%、石油・石炭製品が22.8%上昇しました。日本銀行。全製造業の2025年度平均現金給与総額も月433,746円、前年度比4.3%増です。厚生労働省。一方、食品製造業の2025年度価格転嫁率は、総コスト68.1%、原材料70.2%、エネルギー65.0%、人件費63.4%、物流66.7%で、完全転嫁には至っていません。農林水産省。なお、水産加工業だけを同時比較できる2026年統計は不明です。

2025年(暦年)の二人以上世帯では、生鮮魚介の購入量が17.8キログラムで前年比2%減、支出額は41,100円で1%増でした。2026年水産白書。縮むのは主に「量」です。伸ばせる可能性があるのは、調理負担を減らし、食べる理由が伝わり、納得できる価格を持つ商品です。

図5 魚が食べられなくなったのではなく、「量」が減っている
  • 一人当たり消費 2001年度40.2kg
  • 一人当たり消費 2024年度21.3kg
  • 20代の摂取量(1日)41.9g
  • 70代の摂取量(1日)78.2g

上2本は年度・一人当たりの年間消費量、下2本は2023年の一日当たり摂取量です(別の調査なので上下では比べられません)。世帯の買い方も同じ向きで、2025年は生鮮魚介の購入量が2%減る一方、支出額は1%増えました。減っているのは主に「量」で、「簡便化志向」は38.0%あります。ただし水産の時短商品が伸びている証拠にはならず、水産冷凍食品は7.6%減でした(出典は本文第3章)。

4. 世界市場と輸出――成長はある。ただし、近道ではない

世界では、水産物の供給は増える見通しです。2024年の水産・養殖生産量は2億3,500万トンで、うち水生動物は1億9,500万トン。養殖水生動物は1億300万トンで、水生動物生産の53%、人が食べる水生動物の59%を占めました。一人当たり供給量は2023年21.1キログラム、2024年推計21.3キログラムです。FAO・SOFIA 2026

2034年の水生動物生産量は2億1,392万トンと、2024年比9.9%増が予測されています。養殖は15.9%増、食用供給量は約11%増え、その増加分の78%をアジアが吸収する予測です。ただし、これは世界の生産・供給見通しであり、気仙の商品が自動的に売れるという意味ではありません。

日本の水産物輸出額は、2013年の2,216億円から、2024年3,609億円、2025年4,231億円へ拡大しました。政府の2030年目標は1兆1,000億円で、2025年実績は約38%です。2025年の主要品目はホタテ貝(生鮮等)906億円、ブリ528億円、真珠412億円、ホタテ調製品118億円でした。農林水産省・輸出実績

市場規模を見ると、2024年の主要輸入市場は米国269億ドル、中国220億ドル、日本126億ドル、スペイン95億ドル、イタリア83億ドル。EU域内を含むEU市場は632億ドル、域外からの輸入は320億ドルでした。FAO・SOFIA 2026。東南アジアと中東を同じ定義で比べた直近の輸入成長率は不明で、中東を高成長市場と断定できる一次統計も不明です。

中国向けは、さらに慎重に見る必要があります。中国は2023年8月24日に日本産水産物の輸入を全面停止し、2025年6月29日に37道府県産を条件付きで解除しました。しかし、宮城県を含む10都県は禁輸が続き、施設登録なども必要です。農林水産省・中国の輸入規制外務省・技術要件合意。2026年2月の政府説明でも、2025年12月の未加工水産物輸出は錦鯉のみでした。気仙沼産の実務上の再開を前提にした計画は組めません。農林水産大臣会見

一方、ホタテは販路分散の力を示しました。2023年に輸出先の38%・259億円を占めていた中国向けは、2024年の内訳から消えました。代わりに米国向けが119億円から191億円へ増え、2024年にはベトナム向け106億円、タイ向け42億円が並びました。世界向け総額は689億円から695億円へ、わずかながら増えています。農林水産省・輸出先国の多角化

教訓は、中国に依存していた殻むき・加工工程も日本、ベトナム、タイへ分けたことです。販売国、加工国、商品形態を一か所へ寄せないことが輸出の土台です。

5. 隣の産地は、魚種固定から離れ始めた

先行産地の動きは参考になりますが、実証・計画と、確認済みの成果を分けて見る必要があります。

  • 八戸市は2023年度、加工品開発支援の「八戸産サバ限定」をやめ、原料魚種・水揚げ港を問わない制度へ変えました。2024年にはヒラメ・マツカワの閉鎖循環式陸上養殖協定を結び、カキ養殖実証も開始。魚種固定から離れる制度転換は確認できますが、養殖は実証段階です。八戸市
  • 石巻市は2025~2027年度計画で、陸上養殖参入、地域ブランド、輸出を一体化しています。既に確認できる実績は、2023年度の水産加工品輸出額約10.42億円と、ブランドマーク使用22者です。将来計画と既存実績は別に評価すべきです。石巻市
  • 女川町は2021~2030年度計画で、銀ザケ、ホタテ、カキ、ホヤなど複数魚種の養殖基盤を整え、2017年整備の高度衛生管理型魚市場、民間HACCP、ICT市場、東南アジア向け販促を組み合わせています。基盤と方向は確認できますが、計画全体の成功を意味しません。宮城県
  • 釧路市は2022年からトラウトサーモン養殖を実証し、高水温による短縮を経て、2025年は3基に15,000尾を投入。19.51トン、生残率70.8%を記録し、道内外販売とふるさと納税返礼品化まで進みました。販売まで進んだ実証事例ですが、全面的な商業成功とまでは断定できません。釧路市

共通するのは、原料、養殖、認証、販路の複線化です。小規模事業者が真似すべきは設備規模ではなく、「魚種を固定しない」「実証と本格投資を分ける」という順番です。

6. 気仙には、すでに先行例がある

次の一手は、遠い産地だけに学ぶ必要はありません。

  • 斉吉商店は2007年頃から業務用卸への依存を改め、「金のさんま」などの常温商品、百貨店催事、顧客との直接対話へ転換しました。直販経路と自社ブランドをつくり、収益性を改善しています。中小企業庁
  • 阿部長商店は2016年から東北五地域・七社の輸出チームを組み、東南アジア市場を開拓。高加工度商品の売上構成比が20%まで上がりました。一社で全部を持たず、連携して海外へ出る事例です。復興庁
  • 三陸とれたて市場は、鮮魚EC、CAS凍結、産地映像による物語発信を組み合わせました。カキは従来一個20円未満だった仕入れから、良品を一個500円で仕入れ、1,000円で販売できる商品へ転換しました。地方創生カレッジ
  • 広田湾漁業協同組合は、ワカメ搬送を六人から一人へ、塩・異物除去工程を七~八人から二人へ省人化し、人手不足の中でも生産量を維持できる工程へ改めました。復興水産加工業販路回復促進センター
  • 森下水産はトヨタ生産方式を手本とする「カイゼン」を2012年10月から取り入れ、動線、仕掛品、作業手順を改善。2013年3月には生産出来高が20%向上しました。東北経済産業局
  • **気仙沼水産資源活用研究会「kesemo」**は、サメやホヤ殻などの未利用資源を、食品、化粧品、化学品、ペットフードへ展開。2023年6月時点で21社・17商品となり、受賞や教科書掲載にもつながりました。農林水産省

共通するのは、原料を価値に変える、顧客と直接つながる、人の使い方を見直す、一社で難しければ連携する、という方向です。

7. 人の問題は、採用だけでは解けない

2025年人口は国勢調査速報、年齢構成は公表済みの2020年確定値と2050年推計です。2025年の年齢別結果は2026年9月公表予定のため、まだ混ぜて比較できません。総務省統計局

市町人口:2010年→2025年速報→2050年推計15~64歳:2020年→2050年65歳以上:2020年→2050年
陸前高田市23,300→16,418→9,616人50.6→38.7%40.4→55.0%
大船渡市40,737→30,606→19,268人52.4→42.5%37.8→50.6%
住田町6,190→4,337→2,475人47.2→41.3%45.3→52.2%
気仙沼市73,489→54,125→31,848人52.5→42.6%38.6→51.5%

出典:岩手県速報宮城県速報陸前高田市将来人口大船渡市住田町気仙沼市

四市町すべてで、2050年には人口が2010年の半分前後まで減り、高齢化率は50%を超える見込みです。被災六県の水産加工業調査では、売上未回復企業の34%が「人員不足」を理由に挙げ、64%が売上拡大に「人員確保が重要」と答えました。水産庁

気仙沼では外国人技能実習生用宿舎を含む整備実績があります。宮城県。ただし、四市町別・水産加工業限定の技能実習・特定技能の人数と従業者比率は、今回の材料では不明です。依存度を推測で埋めるべきではありません。

採用だけに頼らず、「人が集まらなくても止まらない工程」へ変える必要があります。人数を使う箇所を見つけ、動線と工程から直す余地があります。

8. Xに表れた、豊漁の喜びと不漁の苦しさ

Xの投稿は統計ではなく、検索で得られた一部の声です。地域全体の意見として一般化はできません。それでも、数字だけでは見えない温度を知る手掛かりになります。

明るい声では、2026年7月7日、気仙沼市長がカツオの水揚げが連日300トンを超えていると報告しました。投稿。同年8月15日には、来訪者が気仙沼で食べた旬のカツオ刺しを「こりゃ替えがないな」と評価しています。投稿。陸前高田では同年5月19日、養殖サーモンが今季初水揚げとなり、初日に2トンが揚がったとの発信がありました。投稿

苦しい声もあります。同年8月7日、気仙沼の店(サメ革店)のアカウントは、カツオは好調だがサンマは不漁予報だと伝えました。投稿。同年7月26日には、広田湾のイシカゲ貝が高水温で死滅し、今季生産が約1.1トンとの記事が共有されています。投稿。一方、不漁予報の中でも出港する漁師の闘志を伝える投稿もありました。投稿

同じ時期、同じ海域でも、カツオの豊漁、養殖サーモンの水揚げ、サンマの不漁予報、貝類の高水温被害が並んでいます。「三陸の魚は豊漁か不漁か」という一問では捉えられません。魚種ごと、時期ごと、天然か養殖かで状況を分けて仕入れと商品計画を組む必要があります。

なお、今回の検索範囲では、気仙沼・大船渡・陸前高田の漁業者・加工業者が本人名義で「人手不足」「後継者がいない」「廃業する」と語った投稿や、原料高を本人が語った投稿は見当たりませんでした。ない声を補って書くことはできません。

9. 明日から検討できる、五つの打ち手

図6 構造の変化と、5つの打ち手の対応
  • 海の変化(海水温+1.27℃/100年)でサンマ・サケ・イカが減り、マイワシ・ブリが増えた打ち手1 新しい原料で常温商品を一品試す
  • 国内消費が半減。量は縮むが、単価と簡便ニーズは残る打ち手2 小さく売って価格を確かめる
  • 人口減・人手不足。採用だけでは埋まらない打ち手3 人を最も使う一工程を変える
  • 世界需要は増加し日本の輸出も拡大。ただし宮城県産は対中禁輸が継続打ち手4 買い手と条件を先に決めて輸出
  • 上の4つのうち、自社の弱点はどれか打ち手5 三つの問いで自社の型を決める

打ち手1 新しい原料で、常温商品を一品だけ試す

未利用魚、増えている魚、これまで捨てていた部位から、まず一品だけ試作します。狙いは大量生産ではなく、味、原価、保存性、買う理由の確認です。地域名と、なぜこの原料を使うのかを包装に載せます。kesemoの未利用資源活用、斉吉商店の常温商品が参考になります。

使える可能性がある制度は、国の「水産加工業等販路回復取組支援事業」です。専門家申込は2026年8月24日、第3次募集は9月2日締切です。公式案内。岩手県内で二者以上が連携するなら「水産加工連携新活動促進事業」があり、補助率二分の一、上限100万円、12月25日まで予算範囲内で募集しています。岩手県

打ち手2 設備より先に、小さく売って価格を確かめる

EC、百貨店催事、ふるさと納税などで、小ロットを実際に販売します。見る数字は、売れた数だけではありません。値引きなしで選ばれたか、再注文があったか、送料を含めても粗利が残るか、どの説明で反応が変わったかです。三陸とれたて市場の例は、原料を安く買うことではなく、良品へ高く仕入れ、高く売れる理由をつくる道を示しています。

「小規模事業者持続化補助金」は、EC、包装、展示会などの販路開拓に利用可能です。第20回は11月5日申請開始、12月15日締切予定です。公式サイト。気仙沼市の「商品・サービス開発等支援事業」は、商品開発が二分の一・上限50万円、生産設備が三分の二・上限200万円で、予算到達まで随時受け付けています。気仙沼市

打ち手3 最も人を使う一工程だけを変える

全工場の自動化ではなく、まず「人数が多い」「待ちが長い」「やり直しが多い」工程を一つ選びます。導入前後で、人時と処理量を同じ方法で測ります。広田湾漁協の搬送・異物除去、森下水産の動線・仕掛品改善は、工程を絞る有効性を示しています。

国の「中小企業省力化投資補助金」は、人手不足対応の機械・システム導入が対象です。カタログ注文型は随時、一般型第8回は2026年8月18日公募開始予定です。公式サイト

打ち手4 輸出は、買い手と条件を先に決める

認証を取ってから売り先を探すのではなく、取引候補、国、商品、必要な衛生条件を先に確認します。HACCPやMSCなどの認証は手段であって、売上そのものではありません。中国向けは、宮城県産の禁輸継続を前提に組み、米国、EU、アジアなど複数候補を比べます。2025年のベトナム向け日本産水産物輸出額は前年比45.3%増でしたが、これも自社商品の販売保証ではありません。農林水産省・輸出実績

「輸出対応型HACCP等対応施設整備事業」は、輸出先規制に対応する施設・機器を原則二分の一以内で支援します。国締切は2026年8月26日ですが、都道府県締切はより早いため、岩手県・宮城県の担当課へ即時確認が必要です。農林水産省

打ち手5 自社の立ち位置を三つの問いで決める

明日、経営会議や朝礼で次を確認してください。

  • 原料固定度:主力魚種が入らない時、別原料で同じ設備を動かせるか。
  • 卸依存度:買い手の顔と、選ばれた理由を自社で把握できているか。
  • 人手集中度:最も人数を使う工程と、その人時を数字で言えるか。

弱点が原料なら打ち手1、販路なら打ち手2、人なら打ち手3、海外条件が壁なら打ち手4から始めます。全部を同時に始める必要はありません。

資金計画では、締切済みの制度を当てにしないことも重要です。大船渡市「地域資源活用支援事業」、ものづくり補助金第23次、新事業進出補助金第3回は締切済みです。大船渡市ものづくり補助金新事業進出補助金。陸前高田市・住田町の水産加工業者向け現行公募条件と、事業再構築補助金の2026年現行公募は、今回の材料では不明です。

10. 一人で抱えなくていい

調査、商品ページ、ネット販売、SNS、業務改善、補助金書類まで、すべてを経営者一人で抱える必要はありません。このレポートを書いた石田祐太は陸前高田市在住で、屋号は「三陸ハピネス」です。市場・競合の調査レポート、ホームページ・ネット販売・SNSの立ち上げと運用、日々の業務のAI自動化、補助金申請の書類づくりの伴走に対応しています。必要な作業だけを、地元で相談できる相手の一人として覚えておいてください。何をいくらで頼めるかは頼めること・料金に書いてあります。読むだけで終わっても構いません。

11. 出典一覧

統計・港・海

国内消費・コスト・輸出

他産地・気仙の事例

人口・労働力

X投稿

支援制度・相談先


本レポートの数字はすべて上記出典の公表値です。統計の条件(暦年/年度、対象範囲)が異なるものは本文中に明記し、確認できなかった項目は「不明」と記載しています。第2号以降の業種リクエストは三陸ハピネスまで。

ほかの業種と、共通する土台

8業種に共通する人口・物価・最低賃金・支払い・ウェブの窓口は、気仙で店を続けるということに1本でまとめてあります。

いずれも無料で、登録もメールアドレスも要りません。一覧は業種レポートのページにあります。

← 業種レポートの一覧へもどる

読み終えたあとに

お店について相談

大船渡港の水揚げは10年で42,602トンから17,504トンへ動き、それでも全国の水産食料品の出荷額は約29%増えました。この記事の数字を、自分の工場の数字と並べて見たい方はこちらから。

LINEで相談する

押すとLINEが開き、どのレポートから来たかが入った下書きが出ます。送っただけで費用はかかりません。 料金は、何をどこまでやるかを聞いてから決める要相談です。

まずは申込内容を送るところから

困りごとを、石田祐太へ届けてください。

送信しただけでは、料金の支払いや正式な契約にはなりません。内容を本人が確認してご連絡します。

料金は要相談 内容をうかがってからお見積り

申込窓口へ進む
LINEで相談する 相談は無料です