夕方の海沿いの町のバス停。掲示板の白い貼り紙に、陸前高田の買い物と移動の足、公共交通 足りない 45.0%、商業 足りない 55.5%、65歳以上 41.3%のまちで、と手書きされている。手前のベンチには買い物袋を足元に置いた年配の人が後ろ姿で座っている。画面下部に 三陸ハピネス 石田祐太 2026年8月。実際の陸前高田市を撮影した写真ではなく、記事の内容を表す作り絵です。
気仙のくらし 約7分

🚌 陸前高田の「買い物と移動の足」を数字で見る

デマンド交通の当日予約・休日運休、買い物の足の現状を市の公開資料だけで整理し、今日からできる工夫、地区で決められること、市全体の宿題の三つに分けます。

「バスの時間が合わない」「店が遠くなった」。陸前高田で暮らしていて、そう感じるのは気のせいではありません。市の公開資料に、その実感はすでに数字で出ています。

この記事は、暮らしレポートの第1号です。私は陸前高田で、数字を調べて整理する仕事をしています。市民のみなさんの困りごとを、まず私の側から公開資料で調べて、無料で公開する。役に立つ実物を先に見せるのが、いちばん誠実な自己紹介だと思うからです。相談はいつでも無料です。

この記事の道すじ
  1. 1実感は、数字でも出ている
  2. 2いま、何があって、何が足りないか
  3. 3これからの話を、三つに分けます
  4. 4まとめ

上から順に並んでいます。気になる段から読んで大丈夫です。

実感は、数字でも出ている

市が2022年に行った市民意識調査(2,000人に配布・814人回答・回答率41.2%)では、市の施策への評価のうち、否定的な回答の割合が高かった分野に「公共交通」45.0%、「商業振興」55.5%が並びます(市民意識調査・2022年)。買い物と移動は、市民の半分近くが「足りていない」と答えた分野です。

前提の数字をひとつ。市の人口は2026年7月末で16,532人(市の人口・世帯数)。65歳以上の割合は、2024年時点の資料で41.3%です(第3期こども計画・2024年)。「車を運転しない人の足」は、これから一部の人の問題ではなく、まちの半分の問題になっていきます。

いま、何があって、何が足りないか

市内の移動の柱は、BRT(バス高速輸送システム)と、市内バス、そして予約して乗る「デマンド交通」です。市の地域公共交通計画(2024年)は、BRTを幹に、市内バス・乗合タクシー・デマンド交通を支線として組み直す方針と、AIオンデマンド交通の検討を掲げています(地域公共交通計画・2024年)。

利用の実数はこうです。市内路線バスとデマンド交通の利用者は、2023年度16,897人、2024年度16,626人。横ばいから微減です(利用実績・2025年公表。BRTの利用者数はこの集計に含まれません)。

そして、デマンド交通の利用者調査(2023年)で不満の上位に並んだのは、次の2つでした(地域公共交通計画・2024年 49ページ「デマンド交通の不満要因」。令和5年度のデマンド交通利用登録者アンケート)。

不満件数
当日に予約できない22件
休日に予約・利用できない13件
事務所の壁に貼られた白い紙に、デマンド交通の不満、当日に予約できない 22件、休日に使えない 13件、と手書きされている。下の机に固定電話と老眼鏡。実際の掲示を撮影した写真ではなく、記事の内容を表す作り絵です。
不満の上位2つは「当日」と「休日」。制度が無いのではなく、思い立った日に使えないことが困りごとの中心です(作り絵)。

つまり、足が無いのではありません。「思い立った日に使える足」が無いのです。 平日に、前もって決めた用事には使える。でも「今日、急に病院へ」「日曜に買い物へ」が利きません。

夜はもっとはっきりしています。総合計画への意見公募(2023年)で「夜間に車を使えない地区の移動手段」を求める声に対し、市は、BRT以外の夜間公共交通が現状無いことを認め、タクシー利用を案内しています(パブリックコメント結果・2023年)。同じ意見公募には「沿岸のまちなのに、地元の水産物を日常的に買いにくい」という声もありました。

これからの話を、三つに分けます

ここからは「誰が動かせるか」で分けます。①あなたと家族が今すぐ動かせること、②地区やご近所で決めれば動くこと、③一人では動かせない、まち全体の宿題。この分け方が、いちばん現実に効くからです。

誰が動かせるかで分ける
  1. あなたと家族が、今すぐ動かせること
  2. 地区やご近所で決めれば、動くこと
  3. 一人では動かせない、まち全体の宿題

① あなたと家族が、今すぐ動かせること

デマンド交通は「前もって予約する足」と割り切って、段取りに組み込む。 利用者調査(2023年)の時点では、当日の予約はできない仕組みでした。逆に言えば、通院や買い物の予定を前日までに決める習慣にすれば、いま使える制度です。利用登録や最新の予約ルールは市のページで確認してください(市のデマンド交通案内)。

買い物に付き添いが欲しいときは「スローショッピング」。 認知症の方などがゆっくり買い物できるよう、地域で支える取り組みが市内で動いています。窓口は地域包括支援センターです(市のスローショッピング案内)。

ちょっとした家事や買い物の手伝いは「暮らしささえ隊」(訪問型サービスB)。 こちらも入口は地域包括支援センターです(市の訪問型サービスB案内)。

居間のテーブルで年配の人の手が鉛筆で卓上カレンダーに印を付けている。隣のメモ帳に、予約は前日までに、通院と買い物は段取りで、窓口 地域包括支援センター、と手書きされている。実際の場面を撮影した写真ではなく、記事の内容を表す作り絵です。
「前日までに決める」段取りに変えれば、いまの制度のまま使えます。入口はどれも地域包括支援センターです(作り絵)。

離れて暮らす家族の方へ。この3つは、本人でなく家族が調べて段取りしても動きます。「親に電話で説明する前に、まず窓口に電話して仕組みを聞く」が最短です。

② 地区やご近所で決めれば、動くこと

市の交通計画には、地域の支え合いによる移動(住民どうしの送迎の仕組みなど)を支援する方向が書かれています(地域公共交通計画・2024年)。買い物の乗り合わせや、地区での送迎の当番は、市の制度を待たずに地区の話し合いで始められる領域です。

もうひとつ。地区の声を市へ届けるときは、「困っている」だけでなく数字を1枚添えると通りやすくなります。「この地区で運転しない世帯が何軒あるか」を数えるだけでも、立派な資料になります。数えかたが分からなければ、私が無料で手伝います。

③ 一人では動かせない、まち全体の宿題

当日予約、休日運行、夜間の足、路線の組み直し。ここは市と交通事業者が予算と人を動かさないと変わらない領域で、正直に書くと、私はこの制度を動かせません。私にできるのは、全員が同じ数字を見ている状態を作ることまでです。

夜の公民館の集会室。ホワイトボードに、利用者 年16,626人、当日と休日を開けるには、何が足りないのか、と手書きされ、手前に後ろ姿の参加者が数人座っている。実際の会合を撮影した写真ではなく、記事の内容を表す作り絵です。
まち全体の宿題は、寄り合いや語る会で「同じ数字を見て確かめる」ところから動きます(作り絵)。

そのうえで、次の「議会と語る会」や地区の寄り合いに出る機会があったら、こんな確かめ方はどうでしょうか。

陸前高田の「買い物と移動の足」を数字で見るの解説に添えた絵。記事の内容を表す作り絵で、実在の場所や人を撮影した写真ではありません

デマンド交通の不満のいちばんは「当日予約できない」(22件)、次が「休日に使えない」(13件)でした。利用者は年16,626人(2024年度)で、少しずつ減っています。当日と休日を開けるには、何が足りないのでしょうか。──誰かを責める話ではなく、同じ数字を見て確かめる問いです。

この記事が間違っている可能性

正直に書きます。この記事の土台は市の公開資料8件だけで、実際に困っている方の一次の声を、私はまだ持っていません。 市民意識調査は回答率41.2%で、答えなかった6割の声は入っていません。買い物に困っている人の人数そのものは、市の単独統計が見当たらず未確認です。資料の年次も2022〜2026年とばらつきがあります。

だから、この記事はここで完成ではありません。あなたやご家族の実際の困りごとを聞かせてください。調べ物は無料でやります。ご本人だけでなく、ご家族や、支援しているお仕事の方からの「代わりの相談」も歓迎します。実際の声で、この記事は書き直されていきます。

この記事の要点をまとめたPDF版(A4・共有用)もあります。ご家族や地区の集まりへ、URLのままお渡しください。

出典(市の公開資料8件)

  1. 市民意識調査(2022年)
  2. 人口・世帯数(2026年7月末)
  3. 地域公共交通計画(2024年)
  4. 市内交通の利用実績(2025年公表)
  5. 総合計画パブリックコメント結果(2023年)
  6. スローショッピング
  7. 訪問型サービスB「暮らしささえ隊」
  8. 第3期こども・子育て支援事業計画(2024年)

まとめ

陸前高田の「買い物と移動の足」を数字で見るの解説に添えた絵。記事の内容を表す作り絵で、実在の場所や人を撮影した写真ではありません

ここからは「誰が動かせるか」で分けます。①あなたと家族が今すぐ動かせること、②地区やご近所で決めれば動くこと、③一人では動かせない、まち全体の宿題。

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