申請できる個人だけを支える制度から、その地区が住み続けられるかを市が把握する仕組みへ変える。
水インフラ――未給水地区のリスク台帳
陸前高田市議会 一般質問の雛形集 09/14 | 水インフラ 一陸前高田市民からの提言 / 調査基準日 2026年8月19日 / 石田 祐太(三陸ハピネス)
この資料の立場(必ずお読みください) この資料は、市民の一人である石田祐太が、市の公表資料と他自治体の公開資料だけを根拠に、個人として自主的に作成し、公開しているものです。 ・市議会議員のお名前は出していません。 ご本人に依頼も相談もしていないからです。 ・作成にあたり、議員・市議会・市役所からの依頼、監修、承認、推薦は受けていません。文責はすべて石田祐太にあります。 ・掲載順はテーマ順で、評価・順位・期待度を示すものではありません。 ・この資料は、市政や議員活動の全体・実績・能力・賛否・担当分野を評価するものではありません。取り上げていないテーマに取り組まれていないという意味でもありません。 ・特定の候補者への投票、支持、反対、当選または落選を求めるものではありません。 ・それでも、この中の一つでも議会での議論や日々の暮らしの参考になるものがあれば、自由に、断りなく、加工してお使いください。ただし自由にお使いいただけるのは、石田祐太が作成した文章・図表の部分だけです。引用元の資料については、各発行者の定めに従ってください。 ・誤りや権利上の問題にお気づきの際はご連絡ください。確認のうえ訂正または取り下げます。
この本が扱う分野:上水道/未給水地区/暮らしの継続/インフラ 特定の議員の発言・経歴・担当分野を示すものではありません。この本の主題を、探しやすいように並べたものです。
- 件名:上水道未給水地区の生活継続リスクの把握について
- 狙い:申請できる個人だけを支える制度から、その地区が住み続けられるかを市が把握する仕組みへ変える。
背景(事実)
市は飲用水等給水施設整備費補助を設けています。一方、上水道の有収率は69.9%(令和5年度)で、送った水の3割が料金収入に結びついていません。下水道では使用料単価188.47円/m³に対し処理原価402.47円/m³、経費回収率は46.8%(令和6年度)です。水道事業そのものの体力が落ちている局面で、給水区域を広げる議論は現実的でないという前提に立つ必要があります。
だからこそ、給水区域の外に残る地区について、高齢化、渇水、井戸の管理者の不在、災害時の給水、空き家の活用、農業の継続まで地区単位で見なければ、10年後にその地区に人が住めるかどうかを判断できません。市の高齢化率は42.1%(2026年1月1日)です。全国の水道普及率は98.2%(令和5年度末)で未普及人口は約220万人、岩手県は94.7%と全国を3.5ポイント下回り、未普及は約6.1万人です。本市の普及率は公開資料からは未確認です。
出典:飲用水等給水施設整備費補助/水道事業の情報/下水道事業決算審査意見書/市統計書
制度の土台
水道法第15条の給水義務は給水区域内に限られ、区域外は対象になりません。また第3条により計画給水人口100人以下の施設は「水道事業」から外れます。つまり未給水地区は、制度上もっとも支援が届きにくい位置にあります。他方で第2条は、国および地方公共団体に清浄・豊富・低廉な水の供給のため必要な施策を講ずる責務を置いています。飲用井戸の水質検査は「飲用井戸等衛生対策要領」(昭和62年厚生省通知)で年1回が望ましいとされる努力規定です。 出典:e-Gov法令検索・水道法/厚生労働省・飲用井戸等衛生対策要領
本質問
未給水地区ごとに、次を整理した台帳を作るべきではないか。
- 人口・世帯数・高齢化率
- 井戸・共同水源の状態と、管理者の年齢
- 水質検査の実施状況と、過去の渇水の履歴
- 災害時の給水拠点までの距離と、今後10年の維持費
- 制度はあっても申請できていない世帯の数と理由
そのうえで、個人補助・共同水源・運搬給水・小規模分散設備の優先順位を示せないか。
先行実例
岩手県九戸村は「安全安心な飲料水確保対策事業」で、給水区域外の簡易水源設置に工事費の2分の1(限度額は1戸40万円から4戸以上100万円)を補助し、水質検査で不適となった場合の再補助も設けています。岩手県軽米町も「飲用水確保対策事業」で飲用井戸の掘削等に経費の2分の1を補助しています。県内に前例が複数あります。 出典:九戸村/軽米町
本市も既に補助制度を持っています。飲用水等給水施設整備費補助金は令和8年度から水質検査も対象となり、補助率10分の8、限度額は1戸50万円・共同100万円です。小規模給水施設設置要綱もあります。足りないのは補助制度ではなく、地区ごとの台帳です。 出典:市・飲用水等給水施設整備費補助/市・小規模給水施設設置要綱
財源のあたり
生活基盤施設耐震化等交付金(令和6年4月から国土交通省所管)は、簡易水道・飲料水供給施設の整備、耐震化、近代化を対象とし、補助率は4分の1、3分の1、10分の4です。台帳の作成そのものには費用がかからず、費用がかかるのはその先の整備段階です。その段階で使える国庫が既に用意されています。 出典:国土交通省・生活基盤施設耐震化等交付金
小さく試す案
全地区でなく、高齢化率が最も高く戸数が少ない2地区から、令和8年度中に台帳の様式を試す。既存の水質検査記録と住民基本台帳で大半は埋まります。令和9年度から順位表へ広げる形で構いません。
想定される市の答弁(推測)
「上水道の拡張は財政面・維持管理面から難しく、補助制度の活用により個別に対応している。」
再質問
上水道の拡張を求めてはいません。井戸の点検、水質検査、共同管理、非常時の給水、申請の伴走を組み合わせ、リスクの高い地区から支援する順位表を2026年度中に作りますか。作らない場合、市はどの資料を見て「その地区に住み続けられるか」を判断しているのか答えてください。
三つの逃げと切り返し
- 「国の動向を注視」型(国待ち):給水義務は区域外に及ばないため、国の制度改正を待っても届きません。国が毎年出す普及率の統計は、待つ対象ではなく数える対象です。
- 「財政上困難」型(財政難):市の補助は既に10分の8です。台帳の作成自体は机上の作業で、整備段階には生活基盤施設耐震化等交付金があります。むしろ有収率69.9%(令和5年度)・下水道経費回収率46.8%(令和6年度)の状態で区域外まで一律に広げる方が無理であり、だから順位が要ります。
- 「既に実施している」型(既にやっている):補助制度と小規模給水施設の要綱はあります。しかし地区単位の10年リスク台帳は市のページに見当たりません。補助の申請を待つ形は、申請できない世帯をそのまま落とします。未給水地区の数と世帯数を、まずお答えください。
この本が立っている市全体の数字(人口・財政・これから10年で来る請求書)ははじめににまとめてあります。議場でお使いになる前に、出典先で最新値へ差し替えてください。
読み終えたあとに
この論点を、自分の市で調べ直したいとき
未給水の地区は、水道の台帳と住民の台帳を重ねないと表に出てきません。その重ね合わせを代わりにやります。
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