文化財を「守る費用」から、子どもが地域を理解し誇りを持つための教育基盤へ変える。
郷土教育――小中9年間の共通課程
陸前高田市議会 一般質問の雛形集 03/14 | 郷土教育 一陸前高田市民からの提言 / 調査基準日 2026年8月19日 / 石田 祐太(三陸ハピネス)
この資料の立場(必ずお読みください) この資料は、市民の一人である石田祐太が、市の公表資料と他自治体の公開資料だけを根拠に、個人として自主的に作成し、公開しているものです。 ・市議会議員のお名前は出していません。 ご本人に依頼も相談もしていないからです。 ・作成にあたり、議員・市議会・市役所からの依頼、監修、承認、推薦は受けていません。文責はすべて石田祐太にあります。 ・掲載順はテーマ順で、評価・順位・期待度を示すものではありません。 ・この資料は、市政や議員活動の全体・実績・能力・賛否・担当分野を評価するものではありません。取り上げていないテーマに取り組まれていないという意味でもありません。 ・特定の候補者への投票、支持、反対、当選または落選を求めるものではありません。 ・それでも、この中の一つでも議会での議論や日々の暮らしの参考になるものがあれば、自由に、断りなく、加工してお使いください。ただし自由にお使いいただけるのは、石田祐太が作成した文章・図表の部分だけです。引用元の資料については、各発行者の定めに従ってください。 ・誤りや権利上の問題にお気づきの際はご連絡ください。確認のうえ訂正または取り下げます。
この本が扱う分野:学校教育/郷土学習/文化財の活用/子どもと地域 特定の議員の発言・経歴・担当分野を示すものではありません。この本の主題を、探しやすいように並べたものです。
- 件名:小中9年間を通じた郷土学習の共通課程について
- 狙い:文化財を「守る費用」から、子どもが地域を理解し誇りを持つための教育基盤へ変える。
背景(事実)
市内には約300か所の遺跡があり、文化財保存活用地域計画も進められています。一方、小学校は8校・児童632人、中学校は2校・生徒358人(いずれも令和5年)で、学校数の差から、同じ市内でも通う学校によって触れる地域資源が変わりやすい構造があります。
市の人口は16,532人(2026年7月31日)、2035年には市の政策シナリオでも13,577人まで減る見通しです。地域の担い手が細る局面ほど、育つ過程で地域を知る機会の格差は後から取り返しにくくなります。個々の史跡・震災伝承・自然・芸術は、学校ごとの裁量だけでは体系的な学びになりにくいのが実情です。
出典:市内の遺跡の概要/文化財保存活用地域計画/市統計書/第3期総合戦略
制度の土台
学習指導要領の総合的な学習の時間は、地域の人々の暮らしや伝統と文化など地域の特色に応じた課題学習を行うものとされています。実施は必須ですが、中身は学校の裁量です。独自教科として編成する場合は、学校教育法施行規則第55条の2の教育課程特例校の指定が要ります。 出典:e-Gov法令検索・学校教育法施行規則/文部科学省・教育課程特例校
本質問
中沢浜貝塚、震災伝承施設、みちのく潮風トレイル、市所蔵の芸術作品、地域の祭りと産業を、小中9年間で段階的に学ぶ共通課程として体系化すべきではないか。あわせて次の5点を教育委員会が共通設計する考えを問う。
- 学年別の到達目標と教材
- 現地学習の実施回数と、学校間で差が出ない配分
- 移動手段・移動費と、外部講師の謝金
- デジタル資料(撮影・アーカイブ)の整備
- 学習成果の評価方法
先行実例
同じ岩手県の大槌町(人口約1.1万人)は、小中9年間を見通した独自カリキュラム「ふるさと科」を持っています。2016年4月の義務教育学校「大槌学園」開校と同時に本格化し、町の教育委員会が9年間のテーマと育てたい資質・能力を共通に設定しています。学校任せにしない設計の、最も近い実例です。 出典:大槌町/事例資料(花巻市掲載)
鹿児島県薩摩川内市は「ふるさと・コミュニケーション科」を平成20年4月から教育課程特例として実施し、中学1〜3年で総合的な学習の時間から70時間を充てています(同市の実施内容)。教育課程特例校は2025年度で全国1,915校です。 出典:文部科学省資料/薩摩川内市
財源のあたり
学年別教材・バス代・講師謝金の専用国庫は見当たりません。既存の総合的な学習の時間の時数振替を土台に、文部科学省の地域と学校の連携・協働体制構築事業(講師謝金・コーディネート経費に充当可)と、文化庁の文化財保存活用地域計画の認定(認定計画に位置づけた事業は国庫補助で優先されやすい)を組み合わせる形が現実的です。 出典:文部科学省・地域と学校の連携/文化庁・文化財保存活用地域計画
小さく試す案
9年分を一度に作らなくてよい。小学6年と中学2年の2学年分だけ、「卒業までに全児童生徒が必ず触れる共通項目」を2027年度の教育課程編成までに定める。教材は既存の市所蔵資料と伝承施設で足ります。
想定される市の答弁(推測)
「既に総合的な学習の時間などで郷土学習を行っており、各学校の主体性を尊重したい。」
再質問
学校の主体性は必要ですが、学校による体験格差はそれでは埋まりません。卒業までに全児童生徒が必ず触れる共通項目と、そのための移動費・講師費を、2027年度の教育課程編成までに示せませんか。示せない場合、現在どの学校の児童が何回現地学習を行っているのか、学校別の実数を答えてください。
三つの逃げと切り返し
- 「国の動向を注視」型(国待ち):学習指導要領は既に地域学習を位置づけており、隣の大槌町は2016年から9年課程を動かしています。待つ対象ではありません。
- 「財政上困難」型(財政難):新規施設は不要です。必要なのは移動のバス代と講師謝金で、総合的な学習の時間の時数振替と文部科学省の地域と学校の連携・協働体制構築事業で賄えます。小学校8校・中学校2校(令和5年)の規模だからこそ、全校共通の設計が現実的です。
- 「既に実施している」型(既にやっている):実施しているのであれば、令和5年時点の10校それぞれの実施内容と回数を一覧で示してください。学校ごとに違う、と答えた時点で、それは共通課程ではありません。全国1,915校(2025年度)の教育課程特例校は、まさにその差を埋めるための制度です。
この本が立っている市全体の数字(人口・財政・これから10年で来る請求書)ははじめににまとめてあります。議場でお使いになる前に、出典先で最新値へ差し替えてください。
読み終えたあとに
この論点を、自分の市で調べ直したいとき
郷土教育を9年間の課程として一枚に並べると、どの学年で何が抜けているかが見えます。自分の市の教育課程で同じ並べ直しをしたいときに。
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