サービスが消えてから利用者を振り分けるのではなく、供給が崩れる前に手を打つ。
介護の供給――サービス空白の早期警戒
陸前高田市議会 一般質問の雛形集 10/14 | 介護の供給 一陸前高田市民からの提言 / 調査基準日 2026年8月19日 / 石田 祐太(三陸ハピネス)
この資料の立場(必ずお読みください) この資料は、市民の一人である石田祐太が、市の公表資料と他自治体の公開資料だけを根拠に、個人として自主的に作成し、公開しているものです。 ・市議会議員のお名前は出していません。 ご本人に依頼も相談もしていないからです。 ・作成にあたり、議員・市議会・市役所からの依頼、監修、承認、推薦は受けていません。文責はすべて石田祐太にあります。 ・掲載順はテーマ順で、評価・順位・期待度を示すものではありません。 ・この資料は、市政や議員活動の全体・実績・能力・賛否・担当分野を評価するものではありません。取り上げていないテーマに取り組まれていないという意味でもありません。 ・特定の候補者への投票、支持、反対、当選または落選を求めるものではありません。 ・それでも、この中の一つでも議会での議論や日々の暮らしの参考になるものがあれば、自由に、断りなく、加工してお使いください。ただし自由にお使いいただけるのは、石田祐太が作成した文章・図表の部分だけです。引用元の資料については、各発行者の定めに従ってください。 ・誤りや権利上の問題にお気づきの際はご連絡ください。確認のうえ訂正または取り下げます。
この本が扱う分野:介護/訪問サービス/高齢者の在宅生活/担い手不足 特定の議員の発言・経歴・担当分野を示すものではありません。この本の主題を、探しやすいように並べたものです。
- 件名:訪問介護サービスの供給体制の把握と早期警戒について
- 狙い:サービスが消えてから利用者を振り分けるのではなく、供給が崩れる前に手を打つ。
背景(事実)
市は第9期介護保険事業計画を公表しています。市の高齢化率は42.1%(2026年1月1日)で、岩手県全体の35.6%を6.5ポイント上回ります。人口は16,532人(2026年7月31日)ですが、2035年には市の政策シナリオでも13,577人まで減る見通しです。利用者は当面増え、担い手の母数は減るという向きの違いが同時に進みます。
令和6年度の介護報酬改定は全体で+1.59%でしたが、訪問介護の基本報酬は引き下げられました。その後、2025年の訪問介護事業者の倒産は91件で3年連続の最多となっています(介護事業者全体では176件)。2024年6〜8月の3か月だけで休止166件・廃止397件の計563件が確認されています。市内の訪問介護事業所は6事業所です(令和6年7月16日時点の市の一覧)。人口密度の低い地域の訪問介護は移動時間やキャンセル対応など報酬に表れにくい負担を伴い、6事業所のうち1つが止まれば空白が出る規模です。各事業所の休止リスクは公開資料からは不明です。
出典:第9期介護保険事業計画/市・介護サービス事業所一覧/厚生労働省・令和6年度介護報酬改定/東京商工リサーチ(2025年)/年齢別住民基本台帳人口(e-Stat)/第3期総合戦略
制度の土台
介護保険法第5条第1項は、介護サービス提供体制の確保に必要な措置を講じることを国の義務とし、同条第4項は国・都道府県・市町村に持続的な体制整備の推進を求めています。第117条により市町村介護保険事業計画の策定は義務で、サービス種類ごとの量の見込みを定めるものとされ、さらに供給量の確保のための方策を定めるよう努めることとされています。「見込む」ところまでが義務で、「確保できているかを測る」ところは各市町村の判断に委ねられています。 出典:e-Gov法令検索・介護保険法
本質問
市内の訪問介護事業所について、次を事業者が不当に不利益を受けない集計単位で把握すべきではないか。
- 常勤換算の職員数と年齢構成
- 直近3年の採用数と離職数
- 利用の待ちの有無と、1日あたりの移動時間
- 依頼を断った件数と、その理由
- 休止・撤退の意向
そのうえで、移動費、採用・研修、緊急時の代替人員に対する市独自の支援の基準を定める考えを問う。
先行実例
同じ岩手県の岩手町(人口約1.2万人)は「特別地域加算に係る訪問介護等利用者負担軽減事業」(平成18年要綱第87号)で、特別地域加算による利用者負担の増加分を10分の1軽減しています。加算が利用控えを招かないよう市町村が間に入った例です。 出典:岩手町例規
高知県は「訪問介護事業所緊急支援給付金」(令和6〜7年度)で、月延べ訪問回数400回以下の小規模事業所へ給付を行いました。過疎地の移動負担へ都道府県が直接手当てした実例です。 出典:高知県
財源のあたり
制度としては特別地域訪問介護加算が100分の15、中山間地域等における小規模事業所加算が100分の10、中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算が100分の5あります。ただし岩手県の資料では中山間地域等小規模事業所加算の対象「地域」に含まれない老人福祉圏があり、本市が対象かどうかの照合が先に要ります。あわせて厚生労働省の訪問介護等サービス提供体制確保支援事業(令和6年度補正)は、市町村でも実施でき、伴走支援・協働化・研修・広報に使えます。 出典:厚生労働省・体制確保支援事業/岩手県・加算の地域区分
小さく試す案
調査票を作らなくてよい。年1回の集団指導・連絡会の場で、5項目を口頭で確認して記録に残すことから始める。6事業所(令和6年7月16日時点)であれば、1回の会合で足ります。令和9年度の計画改定に間に合います。
想定される市の答弁(推測)
「国の介護報酬改定や県の支援策を注視しつつ、事業者と情報共有を行っている。」
再質問
国の改定を待つ間に、実際に空白が生じた場合、市は何日以内に代替のサービスを確保しますか。警戒の指標、連絡網、緊急時の補助、利用者と家族への説明手順を、2027年度の計画改定前に示せますか。
三つの逃げと切り返し
- 「国の動向を注視」型(国待ち):注視すべき改定は令和6年4月に既に行われ、その結果として2025年に倒産91件が出ています。国は体制確保支援事業も既に出しています。空白が出てからでは遅れます。
- 「財政上困難」型(財政難):まず求めているのは支援ではなく把握です。支援に進む場合も、特別地域加算15%・中山間地域等小規模事業所加算10%という既存の仕組みがあり、市の役割は事業者の加算取得を支える部分が大きくなります。
- 「既に実施している」型(既にやっている):事業所一覧はあります。しかし常勤換算職員数・離職・移動時間・断り件数を継続して把握し公表している資料は見当たりません。まず市内の訪問介護の常勤換算職員数をお答えください。
この本が立っている市全体の数字(人口・財政・これから10年で来る請求書)ははじめににまとめてあります。議場でお使いになる前に、出典先で最新値へ差し替えてください。
読み終えたあとに
この論点を、自分の市で調べ直したいとき
介護の供給が崩れる前触れは、事業所の指定と休止の届出に出ます。自分の市の届出を時系列で並べ直す作業を承ります。
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