復興でできた施設と土地の維持費を、担当課ごとの管理から、市全体で世代間負担を比べられる一枚の表へ引き上げる。
復興後の資産――30年の負担マップ
陸前高田市議会 一般質問の雛形集 08/14 | 復興後の資産 一陸前高田市民からの提言 / 調査基準日 2026年8月19日 / 石田 祐太(三陸ハピネス)
この資料の立場(必ずお読みください) この資料は、市民の一人である石田祐太が、市の公表資料と他自治体の公開資料だけを根拠に、個人として自主的に作成し、公開しているものです。 ・市議会議員のお名前は出していません。 ご本人に依頼も相談もしていないからです。 ・作成にあたり、議員・市議会・市役所からの依頼、監修、承認、推薦は受けていません。文責はすべて石田祐太にあります。 ・掲載順はテーマ順で、評価・順位・期待度を示すものではありません。 ・この資料は、市政や議員活動の全体・実績・能力・賛否・担当分野を評価するものではありません。取り上げていないテーマに取り組まれていないという意味でもありません。 ・特定の候補者への投票、支持、反対、当選または落選を求めるものではありません。 ・それでも、この中の一つでも議会での議論や日々の暮らしの参考になるものがあれば、自由に、断りなく、加工してお使いください。ただし自由にお使いいただけるのは、石田祐太が作成した文章・図表の部分だけです。引用元の資料については、各発行者の定めに従ってください。 ・誤りや権利上の問題にお気づきの際はご連絡ください。確認のうえ訂正または取り下げます。
この本が扱う分野:復興後の施設/公共施設の維持費/世代間の負担/財政 特定の議員の発言・経歴・担当分野を示すものではありません。この本の主題を、探しやすいように並べたものです。
- 件名:復興後資産・負担マップの作成と公表について
- 狙い:復興でできた施設と土地の維持費を、担当課ごとの管理から、市全体で世代間負担を比べられる一枚の表へ引き上げる。
背景(事実)
市の公共建築物は157施設・471棟(2022年3月末)。総合管理計画(2022年3月末基準)の試算では、更新需要は建物で年13.8億円、インフラで年16.7億円です。大規模改修は2035〜2042年度に集中します。一方、地方交付税等は令和7年度60.31億円から令和9年度57.13億円へ減る見通しで、財政調整基金も同期間に47.69億円から43.69億円へ減ります。かさ上げ地106.6haのうち利用済み・予定は59.6ha(55.9%、2026年3月31日現在)です。
実質公債費比率は11.6%(令和6年度決算)で、全国市町村平均5.6%の約2.1倍です。令和6年度決算では借金より基金が多く、将来負担比率の分子は負(▲97.59億円)ですが、この余力がいつまで持つかを判断する材料が、復興資産の単位では公表されていません。復興事業で整備・取得した土地・施設・道路・遺構を、利用実態と将来負担まで一つの表で比較できる資料は、本調査では確認できませんでした(有無は不明)。
出典:公共施設等総合管理計画/市財政見通し/かさ上げ地利用率/市財政公表資料
制度の土台
総合管理計画は法律上の策定義務ではなく、地方自治法第245条の4の技術的助言に基づく総務大臣通知(平成26年4月22日付総財務第74号)による要請です。令和7年3月31日時点で全団体が策定済みです。 出典:e-Gov法令検索・地方自治法/総務省・管理計画の要請
本質問
復興事業で生じた土地・施設・道路・遺構について、次を一覧にした「復興後資産・負担マップ」を作成し公表すべきではないか。
- 取得・整備費と、そのうち国費・市費の別
- 直近3年の年間維持費(光熱水費・委託料・修繕費の別)
- 利用者数・稼働率などの利用量
- 今後30年の更新費と、大規模改修の年度
- 売却・転用の制約と、災害時に担う役割
あわせて、維持・統合・転用・売却・廃止を分ける判断基準を数値で示す考えはあるか。
先行実例
本市の計画自体が、既に必要な数字の半分を持っています。改訂版(令和4年3月)は建築物157施設・471棟、延床196,817.25㎡、うち築10年未満が63.2%(復興による一斉整備)と示し、40年間の維持・改築費を建築物551億円(年13.8億円)、都市基盤670億円(年16.7億円)と試算しています。足りないのは、施設ごとの利用実態と判定基準の公開です。 出典:市・公共施設等総合管理計画
宮崎県門川町(人口約1.7万人)は令和4年の概要版で、40年間の改修・更新費が年平均約7.4億円となり、直近5年の投資的経費の平均約2.3億円の約3.2倍にあたることを、住民向けに1枚で示しています。同規模の自治体が「今の支出では届かない」という一点を明示した例です。 出典:門川町・概要版(令和4年)
財源のあたり
新規の調査費は原則不要で、個別施設計画の更新作業に含めれば既存事業の組替えで足ります。集約・除却へ進む段階では公共施設等適正管理推進事業債(総務省)が使え、充当率90%、交付税措置は集約化・複合化で50%、長寿命化等で財政力に応じ30〜50%です。ただしこの事業債の事業期間は令和8年度が原則最終とされており、令和8年度に着手した分に経過措置が置かれる形です。一覧と優先順位が無いまま期限を迎えると、使えたはずの起債の窓が閉じます。 出典:総務省・令和8年度地方債計画関係資料
小さく試す案
2022年3月末時点の157施設を一度に扱わず、復興交付金で整備した施設に限って、年間維持費と10年更新費の2列だけを先に一表にする。2027年度予算編成前に議会へ示せる分量です。
想定される市の答弁(推測)
「各計画と個別施設計画に基づき、適切な維持管理と利活用を進めている。」
再質問
個別計画のままでは施設間の優先順位を比較できません。まず復興関連資産だけを抜き出し、2027年度予算編成前までに、年間維持費と10年更新費の2列だけでも一表にして議会へ示せますか。示せない場合、市は何をもって「どの施設を残すか」を決めているのか、判断の材料を答えてください。
三つの逃げと切り返し
- 「国の動向を注視」型(国待ち):待つほど不利になります。公共施設等適正管理推進事業債の事業期間は令和8年度が原則最終です。一覧と判定基準が無ければ、期限内に何を集約するかを決められません。
- 「財政上困難」型(財政難):この作業は支出ではなく支出の見える化です。むしろ年30.5億円規模の更新需要(2022年3月末の施設数157施設・471棟に対する試算)を放置することのほうが高くつきます。
- 「既に実施している」型(既にやっている):計画があることと、負担マップがあることは別です。取得費・年間維持費・利用実態・30年更新費を一表にした公開物の名称・公表場所・最終更新日を示してください。市民が今日その表を開けるかどうかが、唯一の判定基準です。
この本が立っている市全体の数字(人口・財政・これから10年で来る請求書)ははじめににまとめてあります。議場でお使いになる前に、出典先で最新値へ差し替えてください。
読み終えたあとに
この論点を、自分の市で調べ直したいとき
復興でできた施設の維持費を30年分に伸ばす計算は、担当課ごとに散っている資料を1つの表へ集めるところが山です。その集める作業を代わりに引き受けます。
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