機器を使える人だけを便利にするのではなく、市民と職員の重複作業を同時に減らす。
行政DX――二度書かせない手続改革
陸前高田市議会 一般質問の雛形集 13/14 | 行政DX 一陸前高田市民からの提言 / 調査基準日 2026年8月19日 / 石田 祐太(三陸ハピネス)
この資料の立場(必ずお読みください) この資料は、市民の一人である石田祐太が、市の公表資料と他自治体の公開資料だけを根拠に、個人として自主的に作成し、公開しているものです。 ・市議会議員のお名前は出していません。 ご本人に依頼も相談もしていないからです。 ・作成にあたり、議員・市議会・市役所からの依頼、監修、承認、推薦は受けていません。文責はすべて石田祐太にあります。 ・掲載順はテーマ順で、評価・順位・期待度を示すものではありません。 ・この資料は、市政や議員活動の全体・実績・能力・賛否・担当分野を評価するものではありません。取り上げていないテーマに取り組まれていないという意味でもありません。 ・特定の候補者への投票、支持、反対、当選または落選を求めるものではありません。 ・それでも、この中の一つでも議会での議論や日々の暮らしの参考になるものがあれば、自由に、断りなく、加工してお使いください。ただし自由にお使いいただけるのは、石田祐太が作成した文章・図表の部分だけです。引用元の資料については、各発行者の定めに従ってください。 ・誤りや権利上の問題にお気づきの際はご連絡ください。確認のうえ訂正または取り下げます。
この本が扱う分野:行政DX/手続きの負担/窓口/職員の業務 特定の議員の発言・経歴・担当分野を示すものではありません。この本の主題を、探しやすいように並べたものです。
- 件名:行政手続における市民の記入・来庁負担の測定と削減について
- 狙い:機器を使える人だけを便利にするのではなく、市民と職員の重複作業を同時に減らす。
背景(事実)
市はDX推進アドバイザー制度を設け、行政手続の情報通信技術利用に関する例規も持っています。市の人口は16,532人(2026年7月31日)、高齢化率は42.1%(2026年1月1日)で、岩手県全体の35.6%を上回ります。オンライン化だけを進めると、最も窓口に来る層が取り残されます。
DXの成果は、システムの導入数ではなく、市民の来庁回数・記入回数・添付書類・待ち時間がどれだけ減ったかで測るべきものです。現在の手続別の負担時間は、公開資料からは不明です。測っていないものは、減ったかどうかを言えません。
出典:DX推進アドバイザー設置要綱/行政手続関係例規の体系/年齢別住民基本台帳人口(e-Stat)
制度の土台
「一度出した情報を二度書かせない」は、既に法律の原則です。情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(デジタル手続法)第2条第2号は、行政機関等に提供された情報について、機関の間で共有することにより「同一の内容の情報の提供を要しない」ことを基本原則としています。地方公共団体もこの「行政機関等」に含まれます。同法第13条は、条例・規則に基づく手続を電子情報処理組織で行えるようにする施策を、地方公共団体の努力義務としています。 出典:e-Gov法令検索・デジタル手続法
本質問
転入、出生、死亡、介護、障がい、子育て、空き家、事業者申請の主要な手続について、次を実測すべきではないか。
- 同じ住所・世帯・口座等を何回書かせているか
- 何課を回っているか
- 添付書類の数と、そのうち市が既に持っている書類の数
- 窓口での平均所要時間
そのうえで「一度出した情報は、法令と本人の同意の範囲で二度書かせない」を目標に置き、オンライン化だけでなく窓口の一本化と代理入力の支援を同時に行う考えを問う。
先行実例
北海道北見市の「書かないワンストップ窓口」では、2023年時点で4人家族の転入手続がカウンターで約15分、お悔やみ手続は従来の約2時間から30〜40分になっています。時間で語られている点が要点です。同方式は2023年3月時点で36自治体が導入しました。北見市は他自治体への提供により、2022年度決算で1,000万円を超える収入も得ています。 出典:VLED・北見市の事例/北見市
宮城県角田市(人口約2.8万人)は2024年3月5日、宮城県内で初めて自治体窓口DXSaaSを導入しました。和歌山県紀の川市は2024年1月16日に全国で初めて稼働させています。近年は、システムを自作しなくても国の共通基盤で始められる形になっています。 出典:角田市/デジタル庁
財源のあたり
デジタル庁の自治体窓口DXSaaSはガバメントクラウド上の共通基盤で、書かない窓口の初期構築費を圧縮できます。あわせて窓口BPRアドバイザー派遣事業(デジタル庁)があり、システムを入れる前に業務の測定と改善を支援します。財源としては地域未来交付金(デジタル実装型)が、書かない窓口・オンライン申請を対象としています。本質問が求めている「測ること」自体は、職員が記入欄を数え時間を測るだけで、費用はほぼ生じません。 出典:デジタル庁・窓口DXSaaS/総務省・フロントヤード改革
小さく試す案
全手続を測らなくてよい。利用の多い10手続だけを、職員がストップウォッチと記入欄の数え上げで1週間測る。システム改修の前に、まず現状の数字を持つことが目的です。
想定される市の答弁(推測)
「国の標準化やマイナンバー制度に対応しつつ、可能な手続からオンライン化を進めている。」
再質問
国の標準化を待たずとも、現行の様式と窓口の動線は今日測れます。利用の多い10手続について、来庁回数・記入回数・添付数・所要時間を2026年度中に公表し、2027年度の削減目標を置きますか。置かない場合、市はDXの成果を何の数字で市民に説明するのか答えてください。
三つの逃げと切り返し
- 「国の動向を注視」型(国待ち):デジタル庁はSaaSもBPRアドバイザー派遣も既に運用しており、注視の段階は終わっています。ワンスオンリーは既に法律の原則です。
- 「財政上困難」型(財政難):測定に費用はほぼかかりません。導入段階も窓口DXSaaSで初期費用を圧縮でき、地域未来交付金が使えます。現状を測らないままシステムを入れる方が、投資としては危うい選択です。
- 「既に実施している」型(既にやっている):オンライン化の一部実施と、「転入・出生・死亡・介護・障がいで何回書き何課を回るか」の実測は別のものです。転入手続で市民が住所を書く回数をお答えください。北見市は2023年時点で約15分という数字で答えられます。
この本が立っている市全体の数字(人口・財政・これから10年で来る請求書)ははじめににまとめてあります。議場でお使いになる前に、出典先で最新値へ差し替えてください。
読み終えたあとに
この論点を、自分の市で調べ直したいとき
どの手続きで市民と職員が同じことを二度書いているかは、窓口の様式を並べれば見えてきます。自分の市の様式で数え直したいときに声をかけてください。
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