朝の水産加工場の入口へ入っていく作業着の人の後ろ姿。扉の札に、このまちで暮らし続けられるか、と書かれている。

市民1人当たり所得245万3千円を個人の平均賃金の代わりにせず、市内事業所の業種・雇用形態・賃金帯などを調べる「雇用・賃金実態調査」を行えるか——次回定例会までに調査票案と費用を示し、概算6万円を仮置きして令和8年度内に小規模な予備調査を実施できるかを問える形にしてあります。

雇用を、「仕事があるか」ではなく「このまちで暮らしを続けられるか」として問う

陸前高田・13の論点集 | 雇用と賃金 公開版 2026年8月 / 石田 祐太(三陸ハピネス)

この論点を一枚で(数字は本文と同じ・出典は下の本文にあります)
72.2%雇用・起業環境への否定的評価
245万3千円市民1人当たり所得
37.0%市外を考える中高生の理由
提案次回定例会までに調査票案と費用を示し、令和8年度内に小規模な予備調査を行う

この資料の立場(必ずお読みください) この資料は、市民の一人である石田祐太が、市の公表資料と他自治体の公開資料だけを根拠に、個人として自主的に作成し、公開しているものです。

  • 市議会議員のお名前は出していません。 ご本人に依頼も相談もしていないからです。
  • 市民アンケートはまだ実施していません。ここに書いた「市民が求めていること」は、公表資料から私が読み取った予想にとどまります。
  • 作成にあたり、議員・市議会・市役所からの依頼、監修、承認、推薦は受けていません。文責はすべて石田祐太にあります。
  • 掲載順はテーマ順で、評価・順位・期待度を示すものではありません。
  • この資料は、市政や議員活動の全体・実績・能力・賛否・担当分野を評価するものではありません。取り上げていないテーマに取り組まれていないという意味でもありません。
  • 特定の候補者への投票、支持、反対、当選または落選を求めるものではありません。
  • それでも、この中の一つでも議会での議論や日々の暮らしの参考になるものがあれば、自由に、断りなく、加工してお使いください。ただし自由にお使いいただけるのは、石田祐太が作成した文章・図表の部分だけです。引用元の資料については、各発行者の定めに従ってください。
  • 誤りや権利上の問題にお気づきの際はご連絡ください。確認のうえ訂正または取り下げます。

0. 一枚要約

この資料が支えられる論点: 市民1人当たり所得245万3千円を個人の平均賃金の代わりにせず、市内事業所の業種・雇用形態・賃金帯などを調べる「雇用・賃金実態調査」を行えるか——次回定例会までに調査票案と費用を示し、概算6万円を仮置きして令和8年度内に小規模な予備調査を実施できるかを問える形にしてあります。

  • 72.2%:雇用・起業環境を否定的に見た人は、回答者の10人に7人を超える。33政策の中で否定的回答の割合が最も高い。[市民意識調査(2022年度)
  • 245万3千円:市民1人当たり所得は、企業所得などを含む。一人の給与明細に載る平均賃金ではない。[統計書令和7年版(2022年度値)
  • 37.0%:市外での暮らしを考える中高生の理由では、「学校・仕事の選択肢が多い」がおよそ3人に1人に当たる。[中高生アンケート(2022年度)
  • 提案:次回定例会までに調査票案と費用を示し、令和8年度内に小規模な予備調査を行う。

1. 市民はどこで困っているか(私の読み)

雇用・起業環境を否定的に見た回答が72.2%という数字の後ろには、「求人があるか」だけではなく、その仕事で家賃や光熱費を払い、暮らしの見通しを持てるのかという毎日があります。2,000人を抽出し814人が回答した調査で、全市民の割合とは断定できません。それでも、33政策の中で否定的回答の割合が最も高かった事実は、雇用の数だけでなく中身を確かめる必要を示しています。[陸前高田市市民意識調査(2022年度)

市民1人当たり所得245万3千円という数字があっても、自分の給与明細と比べることはできません。企業所得などを含む市町村民所得であり、市民個人の平均賃金でも、手取り額でもないからです。働く人が知りたいのは、正規か非正規か、どの業種かによって賃金がどう分かれ、今の働き方で生活を続けられるのかです。しかし、市民個人の実賃金中央値や、市内の年代別、業種別、雇用形態別の賃金分布は公開資料で確認できません。[陸前高田市統計書令和7年版(2022年度値)

「市外の学校・仕事の選択肢が多い」と答えた中高生が37.0%という数字の後ろには、進学や就職を考えるとき、住みたい場所だけでは将来を選べない毎日があります。一方、「一度市外に出て戻る」は28.9%でした。戻る可能性を残す人がおよそ3人に1人いても、戻った先の賃金と働き方が見えなければ、本人も家族も生活設計を比べられません。[陸前高田市中高生アンケート(2022年度)

総合計画へのパブリックコメントには、計画評価に曖昧な満足度ではなく客観的指標を使うよう求める意見があり、市は満足度を正式な成果指標から外しました。これは、暮らしを判断できる数字を求める声が実際に公開されているということです。雇用でも、所得の総額や求人件数だけではなく、働く人の賃金分布という客観的な物差しが必要です。[陸前高田市まちづくり総合計画後期基本計画(案)パブリックコメント結果(2023年度)

2. なぜ、いまこの問いなのか

市の統計には2022年度の市民1人当たり所得245万3千円が示されていますが、これは企業所得などを含み、個人の平均賃金や手取り額ではありません。陸前高田市統計書令和7年版(2022年度値) また、市民意識調査では雇用・起業環境への否定的回答が72.2%でした。陸前高田市市民意識調査(2022年度) 一方、市内で働く人の年代別、業種別、雇用形態別、賃金帯別の分布は、公表資料からは確認できませんでした。どの事業所を対象に、どの項目を、どの担当がいつ調べ、回答率と対象外を含めていつ公表するのかが、雇用施策の評価と暮らしを判断できる賃金情報の間に残る確認点です。

3. 事実の壁

事実の壁を一枚で(数字は本文と同じ)
695人中高生アンケートの回答者
30.8%市外で暮らす
28.9%一度出て戻る
空白市内事業所の業種別の賃金帯・労働時間・採用と離職は、公開資料では確認できない
  1. 2022年度市民意識調査は2,000人を抽出し、814人が回答した。雇用・起業環境への否定的回答は72.2%である。回答者の10人に7人を超える計算で、33政策の中で否定的回答の割合が最も高い。全市民の割合と断定はできない。[陸前高田市市民意識調査(2022年度)
  2. 2022年度の市民1人当たり所得は245万3千円である。ただし、市町村民所得には企業所得などが含まれる。市民一人ひとりの平均賃金でも、手取り額でもない。[陸前高田市統計書令和7年版(2022年度値)
  3. 中高生アンケートは対象740人のうち695人が回答した。市外での暮らしを考える理由では、「市外の学校・仕事の選択肢が多い」が37.0%である。進学や就職を考える世代のおよそ3人に1人が、選択肢の差を理由に挙げたことになる。[陸前高田市中高生アンケート(2022年度)
  4. 同じアンケートの将来意向は、「住み続ける」10.9%、「市外で暮らす」30.8%、「一度市外に出て戻る」28.9%である。戻る可能性を残す人はおよそ3人に1人いるが、戻った先の賃金分布は公開資料で確認できない。[陸前高田市中高生アンケート(2022年度)

4. 他自治体はもう動いている

動いているのは「低賃金そのもの」の解決ではなく、自治体が賃金の実態を把握できない状態の解消である。

**登別市「労働基本調査」**は2006年に開始した。常用労働者5人以上の民間事業所を対象に、雇用形態、賃金、労働時間、休暇、採用状況などを隔年で調べている。2025年度は319事業所へ調査し、196事業所が回答した。回答率は61.4%で、労働者4,711人を集計した。正規雇用57.9%、非正規雇用42.1%まで公表している。正規雇用者の平均月額賃金は男性36万5,993円、女性23万961円である。[登別市・令和7年度労働基本調査調査結果PDF

費用は、現行額を公開資料で確認できない。確認できた参考値は、2015年度決算2万6,000円、2017年度予算5万9,000円である。[登別市・年度別決算資料2017年度予算資料

陸前高田市との条件の違い:登別市の人口は約4万2千人で、本市の2026年7月31日人口1万6,532人の約2.6倍である。観光業の比重や震災復興の条件も異なる。また、4人以下の事業所は調査対象外である。それでも、数万円規模の参考実績で、自治体独自の賃金調査を継続した事実は移せる。[登別市・調査資料陸前高田市・人口世帯数(2026年)

5. 提案

提案の道すじ ― 4手で終わります
  1. 1調査対象と質問項目を決める
  2. 2公表項目と概算費用を決める
  3. 3次回定例会までにA4判1枚で示す
  4. 4令和8年度内に小規模な予備調査を行う

費用と財源の書き方は、この下の本文にあります。

  1. 何を:市内事業所を対象に「雇用・賃金実態調査」を行う。業種、雇用形態、賃金帯、労働時間、採用・離職を匿名集計し、回答率と対象外事業所も併記する。
  2. いつまでに:次回定例会までに、対象、調査項目、公表表、担当課、見積額を示す。令和8年度内に小規模な予備調査を実施し、結果と限界を公表する。
  3. 概算費用:予備調査は6万円を仮置きする。根拠は登別市の2017年度予算5万9,000円である。ただし、現行単価と本市の必要経費は不明であり、市の積算で確定できるかを問う。[登別市・2017年度予算資料
  4. 財源候補:一般財源を第一候補とする。公表資料から、使える国・県補助メニューは確認できなかった。

最小の第一歩:次回定例会までに、調査対象、質問項目、公表項目、概算費用をA4判1枚で提示する。実施の前提を紙に固定すれば、「検討」の中身と期限を議事録で追える。

6. 質問原稿の例(そのまま読めます)

市内に仕事がある。それだけで、市民はこのまちで暮らし続けられるでしょうか。2022年度の市民意識調査では、雇用・起業環境への否定的回答が72.2%でした。回答者の10人に7人を超え、33政策の中で最も高い割合です。その数字の後ろには、求人票を見ながら、家賃や光熱費を払い続けられるか、子育てや介護と両立できるかを考える毎日があります。(出典1)

この調査は2,000人を抽出し、814人が回答したものです。全市民の割合とは断定できません。しかし、だから数字を置いたままにするのではなく、何が評価を押し下げているのかを確かめる必要があります。(出典1)

市の統計には、2022年度の市民1人当たり所得245万3千円が載っています。しかし、これは平均賃金ではありません。企業所得などを含む市町村民所得です。一人ひとりの給与明細に載る額でも、手取り額でもありません。(出典2)

市民が暮らしを決めるときに必要なのは、市内で働けば、どのくらいの賃金になるのかという情報です。正規と非正規でどう違うのか。業種によってどう違うのか。子育てや介護と両立できる勤務時間なのか。ところが、年代、業種、雇用形態別の市内賃金分布は、公開資料で確認できません。

中高生アンケートは740人を対象とし、695人が回答しました。市外での暮らしを考える理由では、「市外の学校・仕事の選択肢が多い」が37.0%です。およそ3人に1人が、選択肢の差を理由に挙げています。(出典3)

一方、将来意向では「一度市外に出て戻る」が28.9%でした。戻る可能性を残す人も、およそ3人に1人います。しかし、戻った先の賃金と働き方が見えなければ、本人も家族も生活設計を比べられません。(出典3)

総合計画へのパブリックコメントには、曖昧な満足度ではなく、客観的指標で計画を評価するよう求める意見がありました。市は満足度を正式な成果指標から外しました。雇用でも、所得の総額や求人件数だけでなく、働く人の賃金分布という物差しが要ります。(出典8)

北海道登別市は、2006年から労働基本調査を隔年で行っています。2025年度は319事業所へ調査し、196事業所が回答しました。回答率は61.4%です。労働者4,711人を集計し、正規雇用57.9%、非正規雇用42.1%まで公表しています。正規雇用者の平均月額賃金は、男性36万5,993円、女性23万961円です。(出典4)

登別市の人口は約4万2千人で、本市の約2.6倍です。産業構成や震災復興の条件も違います。4人以下の事業所は対象外です。登別市の数字を本市へ当てはめることはできません。しかし、違うからこそ、本市の実態は本市で調べなければ分かりません。(出典4、5)

確認できた登別市の費用は、2015年度決算2万6,000円、2017年度予算5万9,000円でした。現在の費用は不明です。本市の必要額も積算が必要です。それでも、概算6万円を仮置きし、小規模な予備調査の設計に入る根拠にはなります。(出典6、7)

この調査は、事業所を責めるためのものではありません。採用条件を決める事業所にも、地域の実態を知る材料が要ります。行政にも、就業支援や事業所支援の行き先を決める材料が要ります。働く人、事業所、行政が、同じ地域の実態を見るための調査です。

回答しない事業所や対象外の事業所があれば、その限界も公表すべきです。完全な数字を待つのではありません。どこまで分かり、どこから分からないかを示す。その積み重ねが、次の政策判断を支えます。

そこで、第一に伺います。市民1人当たり所得245万3千円は、市民個人の平均賃金ではない。この点を次回の関連資料から明記していただけるか。明記できないとすれば、何が障害か。市の認識は、平均賃金とは異なるという理解でよろしいですね。

第二に伺います。市は、市内で働く人の賃金を、業種別、雇用形態別、賃金帯別に把握しているか。把握しているなら、個人や事業所を特定しない形で、次回定例会までに公表いただけるか。できないとすれば何が障害か。把握していないなら、その事実を答弁で確定してください。

第三に伺います。市内事業所を対象とする「雇用・賃金実態調査」の実施要領案を、次回定例会までに示していただけるか。対象、調査項目、公表項目、担当課、見積額をA4判1枚にまとめていただけるか。できないとすれば何が障害か、いつ解消できるのかを答弁ください。

第四に伺います。令和8年度内に小規模な予備調査を行い、回答率と調査の限界を含めて公表いただけるか。概算費用は6万円を仮置きし、一般財源を第一候補とします。公表資料では、使える国・県補助メニューを確認できませんでした。該当制度があるなら、制度名を答弁ください。

この質問で変えたいのは、統計表の一列ではありません。今の仕事で暮らしを続けられるかを考える人と、いつか陸前高田へ戻れるかを考える若い世代が、判断できる材料を持つことです。調査するのか。次回定例会までに設計するのか。令和8年度内にどこまで実行するのか。三つの期限を明確に答弁いただくよう求めます。

7. 答弁シミュレーション

①「検討します」

再質問:検討する対象を、調査の要否、対象事業所、調査項目、費用の4点に分けます。この4点の整理結果を、次回定例会までに示していただけると理解してよろしいですね。

二本勝ち筋:期限を受ければ宿題が議事録に残り、受けなければ未決定の4点と障害が議事録に残る。

②「把握していない」

再質問:把握していないことを確認しました。では、業種別、雇用形態別、賃金帯別の3項目について、令和8年度内に予備調査をしていただけると理解してよろしいですね。

二本勝ち筋:把握に転じれば数字が残り、未把握なら調査開始の期限が残る。

③「国の動向を見ます」

再質問:国・県の統計で、市内の業種別、雇用形態別、賃金帯別まで分かるのか、資料名を答弁ください。分からない部分だけを市が調べる実施要領案を、次回定例会までに示していただけると理解してよろしいですね。

二本勝ち筋:既存統計で分かれば出典が残り、分からなければ市独自調査の範囲が確定する。

④「財源が限られる」

再質問:登別市で確認できた参考値は、2015年度決算2万6,000円、2017年度予算5万9,000円です。概算6万円を仮置きし、本市の見積額と一般財源での実施可否を、次回定例会までに示していただけると理解してよろしいですね。[登別市・決算資料予算資料

二本勝ち筋:可能なら予備調査へ進み、不可能なら必要額と不足額が議事録に残る。

⑤「本市は特殊だ」

再質問:人口、産業構成、震災復興条件が異なることは承知しています。だから数字の転用ではなく、本市独自の予備調査を求めています。異なる条件を調査項目へ反映し、次回定例会までに実施要領案を示していただけると理解してよろしいですね。

二本勝ち筋:違いを説明すれば本市固有の調査項目が残り、説明できなければ調査を拒む根拠が残らない。

8. この資料の使い道(続き物の設計)

答弁で得た数字と約束を、①市民1人当たり所得の説明修正日、②既存データの有無、③実施要領案の提示日、④予備調査の実施日、⑤公表日、⑥回答率の6欄で記録する。次の定例会では、期限を過ぎた項目を一つずつ確認する。調査後は、業種別、雇用形態別、賃金帯別の差を、就業支援、事業所支援、公共業務・公共工事の条件へどう反映するかを問う。これにより、「把握」「公表」「政策反映」の3回に分けて追跡できる。

9. 出典一覧・確認できなかったこと

出典一覧

確認できなかったこと

  • 市民個人の実賃金の中央値。
  • 市内の年代別、業種別、雇用形態別、賃金帯別の分布。
  • 登別市労働基本調査の現行費用。
  • 本市で予備調査を行う場合の現行単価による積算額。
  • 本提案に使える国・県補助メニュー名。
  • 東北の被災市町村で、「開始年・賃金結果・費用」の全てを公式資料で確認できる独自調査事例。
  • 公共工事後の市内居住者の実雇用人数や地元雇用率を追跡した自治体事例。
  • 人口2万人から4万人以下の自治体で、公契約条例導入前後の賃金上昇額、離職率、地元雇用人数を数値比較した公式評価。

以上の未確認事項は、本文で事実として断定していない。

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